VACCINATIONMRワクチン・風しんワクチン

MR(麻しん風しん混合)ワクチン・風しんワクチン

MRワクチンとは麻しん(Measles)、風しん(Rubella)に対するワクチンです。以前は麻しん(Measles)、ムンプス:おたふくかぜ(Mumpus)、風しん(Rubella)の3種混合ワクチンとして接種されていましたが、無菌性髄膜炎の発生報告により1993年以降ムンプスワクチンは除外されています(海外ではMMRワクチン接種が一般的)。麻しん、風しんともに予防が非常に重要な感染症です(後述しますがムンプスも予防が重要です)。

麻しんとは

麻しん(はしか)とは麻しんウイルスによってひきおこされる病気です。感染後10日ほどで風邪のような症状が現れ、38℃前後の熱が2~3日続いた後、いったん解熱したと思ったら39℃の熱と全身性の発しんをきたします。発しんは耳のうしろからはじまって顔やからだ、手足に広がります。目の症状も特徴的で、めやにや羞(しゅう)明(めい)(光をまぶしく感じること)がみられます。通常は発しんがでたあと3~4日で解熱し軽快していきますが、発しんはしばらく色素沈着(黒ずんだあと)が残ることがあります。麻しんで気をつけないといけないのは①感染力の強さと②重篤な合併症です。

①感染力の強さ
ウイルスや細菌など、ひとからひとに感染するものは「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」などの形式で伝播します。麻しんは1番感染しやすい「空気感染」をおこすことが知られており、一旦感染者がでてしまうとあっという間に感染がひろがってしまう可能性があります。

②重篤な合併症
麻しんを発症すると、多くの人は「ちょっとひどい風邪」のような経過をたどりますが、3割程度の人は肺炎などの合併症をひきおこすことがあります。また1000人に1人くらいの頻度ですが脳炎(脳に炎症がおこること)を合併することがあり、場合によっては命をおとしてしまうこともあります。

これらの理由からこどもの頃からの積極的な予防が必要とされています。
日本では、土着のウイルス株による流行はみられませんが、海外からもたらされた株により散発的な流行がおきています。

風しんとは

風しんは、風しんウイルスに感染することによってひきおこされる病気です。発しん、発熱、リンパ節の腫れを特徴としますが、症状がでないこともしばしばみられます。症状は麻しんの初期症状にも似ており、通常こどもの感染では3日程度で治るため「3日はしか」とよばれることもあります。おとなの感染では関節痛がひどくみられたり、仕事をやすまないといけないこともあります。また、妊娠初期の女性が感染した場合に、おなかの赤ちゃんに風疹ウイルスが感染してしまい「先天性風疹症候群」をきたすことがあります。

先天性風しん症候群(Congenital Rubella Syndrome:CRS)
妊娠初期の胎児に風しんウイルスが感染することで、産まれてきたときに心臓病や白内障、難聴(みみが聞こえにくいこと)などがみられる病気です。市井の風しん流行にともなって先天性風しん症候群も増えることがわかっています。

これらのことから風しんは、こども時期の発症予防に加え、おとなになってからも産まれてくる赤ちゃんへの感染予防が必要であり、積極的なワクチンが推奨されています。

※前述のMMRワクチン中止以降2006年MRワクチン接種がはじまるまでは麻しんワクチン、風しんワクチンは単独で1回接種であった歴史があり、1979年4月2日~1987年10月1日生まれの方は抵抗力が十分でない可能性もあります。妊娠可能性のある方やその同居されている方は抗体価測定をおすすめします(自費検査)。

接種スケジュール

MR(麻しん風しん混合)ワクチン(こども)

MRワクチンは小児定期接種の対象です。1歳未満での接種では免疫獲得が十分でないことから、1歳をむかえた後での接種開始となります。1回の接種では十分な免疫がつかなかったり、その後低下してしまう可能性があるため第1期、第2期と時期をずらして2回接種する必要があります。
第1期は1歳から2歳になるまでのあいだで1回接種します。近年はワクチンの過密化に伴い、1歳の誕生日がきたところでHib(ヒブ)、小児用肺炎球菌、4種混合、MR、水痘、ムンプスの6種類を同時接種でうけることが推奨されています。
第2期は小学校入学前の1年間で1回接種します。これもムンプス2回目と同時接種でうけることが推奨されています。後述しますが、小学校入学前に任意接種で3種混合ワクチン+ポリオ接種が推奨されており、これと同時接種も可能です。

ワクチン.netより引用

風しんワクチン(主におとな)

風しんワクチンは基本的に成人が対象となります。先にも述べましたが、本人の感染を予防することも大事ですが、主に先天性風しん症候群の予防が目的となります。妊娠が発覚すると風しん抗体価を測定すると思いますが、HI抗体価が16倍以下の場合は出産後早期にワクチンを接種すべきとされています。授乳中に接種した場合、母乳中にワクチン成分が含まれてしまいますが赤ちゃんに感染することはありません。次回妊娠のためにも早期に接種することが推奨されています。
妊娠を希望している女性はもちろんのこと、そのパートナーの男性、一緒に生活している方も対象となりますので抗体価を測定し低置の方は積極的にワクチンを接種するようにしてください。
※野田市ではクーポン(公費)にて抗体価測定ならびにワクチン接種を推奨しています(2023/3まで)。
https://www.city.noda.chiba.jp/kurashi/kenko/chusha/1022387.html