GASTROENTEROLOGY消化器内科

About消化器について

  • 「消化管」の不調は比較的身近なもの

    「消化器」とはどの臓器のことをさすのでしょうか。「消化器」とは文字通り食べ物の消化を担っている臓器の総称です。消化器は大きく「消化管」と「肝胆膵」に分けられます。
    「消化管」とは口から肛門までの食物の通り道であり、食事の消化・栄養やビタミン吸収、便の形成を行っています。具体的な臓器としては、食道・胃・十二指腸(小腸)・大腸があります。毎日なんらかの食物や飲物を口にしている我々現代人にとって、「消化管」の不調は比較的身近なものです。

  • 肝胆膵とは?

    一方の「肝胆膵」ですが、聞いてすぐにピンと来る方はあまり多くないと思います。具体的な臓器としては、肝臓・胆道(胆嚢)・膵臓があります。食物の通り道であった消化管とは異なり、消化を助ける酵素を合成したり、吸収した栄養を貯蔵する役割をしています。こちらの不調はあまり症状として表れることは少なく、主に健診などで異常値を指摘されることが多いと思います。以下に様々な症状や健診異常を挙げていきます。あてはまる症状や検査異常がありましたら気軽にご相談ください。

Symptoms消化器にまつわる症状

  1. 01

    のどの違和感、飲み込みづらさ

    食事をたべるとき、時には唾液をのみこむときに感じる飲み込みづらさ、または食事に関係なくのどに違和感、何かつかえている感覚を感じることがあるでしょうか?そんな方は「逆流性食道炎」の可能性があります。

    胃酸は胃でつくられますが、そのぶん胃は胃酸にまけないつくりになっています。食道は胃酸に耐えられるつくりではないので、胃から胃酸が逆流してくることによって粘膜がただれてしまい、それによりのどや飲み込むときの違和感として症状があらわれることがあります。
    このような症状があった場合には、内視鏡によって診断が可能で、胃酸を抑える内服により症状改善が期待できます。

  2. 02

    むねやけ

    食べ過ぎ、飲み過ぎの後、あるいは食事関係なく胸のやけるような症状を自覚したことはあるでしょうか。そんな方は「逆流性食道炎」や「機能性ディスペプシア」の可能性があります。

    いずれも胃酸過多や食道・胃の協調運動不全、内臓知覚過敏などが関与している可能性があります。
    このような症状があった場合には、内視鏡によって診断が可能で、胃酸を抑える内服や胃腸の運動機能改善薬の内服により症状改善が期待できます。

  3. 03

    腹痛

    おなかが痛くなったことはない!という方はいないと思います。おなかを壊したとき、便が出る前、緊張した場面等々・・・腹痛にはさまざまな原因と症状のあらわれ方があります。そもそも腹痛にはどういったものがあるのでしょうか?腹部の痛みには知覚するメカニズムによって「内臓痛」、「体性痛」、「関連痛」と大まかに3種類に分類されます。

    「内臓痛」は胃腸や胆嚢などの臓器に炎症がおこった場合に知覚され、腹部の中心で、局在性の乏しい(痛みの場所が指でさせる程明確でない)のが特徴です。おなかの中心部分で痛みの場所が明確でない場合には、「胃炎・胃潰瘍」や「腸炎」、「過敏性腸症候群」、「腸閉塞」、「胆のう炎」等の病気の可能性があります。

    「体性痛」は胃腸や胆嚢などの臓器の炎症がおなかの壁にもひろがってしまった場合におこり、局在性をもつ(痛みの場所が指でさせる程明確)のが特徴です。おなかの特定部分の明確な痛みの場合には、「虫垂炎」や「胆嚢炎」、「大腸憩室炎」、「急性膵炎」等の病気の可能性があります。

    「関連痛」は胃腸や胆嚢などの臓器以外に炎症がおこっているのに、痛みの神経が勘違いをおこしておなかの痛みとして感じてしまうものです。
    おなかの痛みの原因は多岐にわたり、なかには診断がむずかしいものも多く、経過をみたり、時には総合病院への受診が必要になる場合もあります。

  4. 04

    下痢/便秘

    排便をしたことがない!という方はいないと思います。一般的にはバナナ状の便が理想的な硬さとされています。それよりも柔らかい、中にはほとんど水分のままの便が出ることがあり、これを下痢といいます。下痢は腸(小腸や大腸)の炎症や協調運動不全でおこりますが、便の性状で不調の部位がある程度推測可能です。

    病気としては「感染性腸炎」や「過敏性腸症候群」、「炎症性腸疾患」等の病気の可能性があります。
    整腸剤のみで症状改善する場合が多いですが、改善に乏しい場合は診断治療のため大腸カメラが必要になることもあります。

    一方でバナナ状よりも硬い便しかでない場合や、そもそも排便回数が少ない場合、便を出すのに毎回いきまないとならない場合などは、便秘と定義されます。本人がどうとらえるかが一番重要で、毎日便があってもすっきり出ないときは便秘となりますし、週一回しかでなくても本人がなんともなければ必ずしも便秘とはいえません。わかりやすく言えば、便秘かどうかは「本人が便秘とかんじるかどうか」ということになります。

    女性はわかいときから便秘を経験することが多いですが、男性は年齢を重ねてから、特に仕事を退職した後から便秘を経験することが多いです。便秘にはいろいろな原因がありますが、食物線維の摂取不足や運動不足、生活リズムの乱れなど多岐にわたります。今まで便秘知らずだったにもかかわらず急に便秘になった場合や、もともと便秘があっても急激に便の頻度が低下した場合には「腸閉塞」や「大腸癌」等の病気の可能性があります。急な便秘や体重減少を伴う便秘の場合には大腸カメラが必要になることもあります。

  5. 05

    吐き気

    吐き気にはいくつかの原因があります。
    まずは胃腸の不調ですが、胃腸に何らかの炎症や協調運動不全が起こり吐き気をきたす場合があります。病気としては「機能性ディスペプシア」や「感染性腸炎」、「過敏性腸症候群」等の病気の可能性があります。

    それ以外に吐き気は、頭痛やめまいの随伴症状として、薬の副作用として、時には妊娠に伴って起きることがあります。胃腸の不調が原因となっている場合、服薬で改善に乏しい場合は診断治療のため胃カメラや大腸カメラが必要になることがあります。胃腸以外の原因も探りながら、総合的に診療をすすめてまいります。

  6. 06

    黄疸(おうだん)

    皮膚の色が黄色い、尿が黄色い(時に赤くみえることもあります)、白目が黄色い、などの兆候があればそれは黄疸かもしれません。通常は徐々に色調変化をきたすため、本人や同居者では気付かず、久しぶりに再会した方に指摘されることもあります。

    黄疸もさまざまな原因でおこりますが、多くは①肝臓の炎症か②胆汁のうっ滞が引き金となります。

    ①肝臓の炎症
    肝臓の炎症を肝炎と呼びますが、ウイルスによるものとそれ以外のものにわけられます。ウイルスの代表格は「B型肝炎」や「C型肝炎」です。ウイルス以外では「アルコール性肝炎」や「薬剤性肝炎」、「非アルコール性脂肪肝炎」があります。

    ②胆汁うっ滞
    肝臓からは胆汁が合成され、胆管を通って腸へ流れていき、食物の分解をおこないます。胆汁の流れが滞ることにより体内に胆汁がうっ滞し、胆汁(ビリルビン)による黄染が症状として表れます。胆汁うっ滞の原因としては「胆石(総胆管結石)」や「胆道がん」、「膵臓がん」などがあります。

    黄疸がどのような原因によっておこっているかは、血液検査や超音波検査などで調べていく必要があります。必要に応じてCT検査が必要になることもあり、その場合は総合病院への紹介をすすめていきます。