ESOPHAGUS食道の病気
About食道の病気について
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逆流性食道炎
逆流性食道炎の有病率(病気をもっている人)は10人に1人程度と言われており(ガイドライン2021より)、必ずしも珍しい病気ではありません。読んで字の通り、胃酸が「逆流」して「食道炎」をおこしている状態で、加齢、肥満、高脂肪食摂取、喫煙などとの関連がわかっています。
症状は多彩で「むねやけ」「のどのつまる感じ」「空咳(からぜき)」「呑酸(どんさん):口やのどまであがってくる感じ」があり、アジア人では人による感じ方がより多彩です。また、内視鏡での所見と症状が必ずしも一致せず、胃カメラで問題ないと言われても症状が強い方もいます。
原因をとりのぞくことで(体重を減らす、脂肪の多い食事を控える、タバコを控える)症状が軽くなることが期待されますが、それでもつらい時には内服薬(PPI、P-CAB)を処方し治療します。上記にあてはまるような症状がある場合は一度ご相談ください。
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バレット食道
バレット食道という言葉を聞いたことがあるでしょうか。おそらく聞き慣れない(聞いたことがない)病名だと思います。食べ物は食道から胃を通過して腸に流れていきますが、食道には食道の粘膜、胃には胃の粘膜があります。
胃の中には胃酸(塩酸)があるので胃の粘膜は胃酸にまけない構造になっていますが食道はそうではありません。そのために胃酸逆流により「逆流性食道炎」がおこるわけですが、それをくりかえしているうちに食道の粘膜(胃に近いところ)が一部胃の粘膜のように置き換わることがあります。この部分(食道なのに胃の粘膜に置き換わったところ)を「バレット食道」といいます。
バレット食道自体は何か特別な症状をおこすものではなく、すぐに治療や追加の検査が必要なものではありませんが、がんの発生母地となることがわかっています。そのため、バレット食道と診断をうけた方は胃がん検診同様に定期的な内視鏡検査を受けることをおすすめします。以前の検査などで指摘をうけたり、ご心配な方はご相談ください。
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食道がん
食道がんは20人/10万人程度でおきる病気であり(全国がん登録罹患データ2018より)、野田市の規模で考えると毎年30人程度診断される病気です。男性に多く(女性の5倍)、飲酒習慣のある人やタバコをすっている人にも多いことがわかっています。
中でも飲酒すると顔が赤くなる人はリスクが高いことがわかっていわれています。初期段階では症状が出ることはなく、進行した状態ではじめてつまり感や体重減少などの症状が出現します。初期の病変であれば内視鏡治療が可能ですが、進行すれば外科治療や化学療法、放射線療法が必要になります。
現代の医学では食道がんの予防に効果的な方法はなく、早期発見早期治療が原則であり、「男性」、「喫煙習慣」、「飲酒すると顔があかくなる」などにあてはまる方は定期的な食道癌のスクリーニング検査が必要です。
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好酸球性食道炎
好酸球性食道炎という病名を聞いたことがある方は少ないと思います。食道炎は文字通り食道に炎症がおきている状態のことですが、好酸球によって炎症がおきている病気を好酸球性食道炎といいます。
好酸球とは白血球の一種で、寄生虫感染やアレルギーなどに際して増えてくることがわかっています。この好酸球が胃腸の一部にたくさん集まってきて炎症やそれに不随する症状をきたすことがあります。具体的にはつかえ感や飲み込みづらさをかんじることがあります。逆流性食道炎とも症状が似ているため、正確な診断がされていないこともあります。
診断には内視鏡検査と生検検査が必要であり、内視鏡専門医でも見逃してしまうこともあります。逆流性食道炎は胃酸を抑える治療で症状がよくなることが多いですが、好酸球性食道炎は必要に応じてステロイドの治療が必要になることがあります。上記の症状がなかなか治らない方は一度内視鏡検査をおすすめします。