LARGE INTESTINE大腸の病気
About大腸の病気について
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過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome, IBS)は、腸内の機能障害によって慢性的な腹痛、腹部膨満感、便秘または下痢、およびこれらの症状の組み合わせなどが現れる症候群です。「機能性」というのは物理的な異常はないにもかかわらず、その動きの問題や知覚過敏などにより引き起こされているという意味です。
過敏性腸症候群の有病率(病気をもっている人)は10人に1人程度と言われており(ガイドライン2020より)、必ずしも珍しい病気ではありません。
症状としては上記に挙げた「腹痛」や「腹部膨満感」、「便秘」や「下痢」がありますが、ストレス、食事内容(油ものや辛いもの)、ホルモン異常などが原因とされており、典型的には「緊張するとおなかがいたくなる」「緊張すると下痢をする」などがあります。
IBSは、物理的な異常がないことを確かめるために大腸カメラを行うこともありますが、症状から診断することもあります。ただ、中には別の病気が隠れていることもあり、症状が長引いている場合や悪化してきている場合は大腸カメラ等の検査を行うこともあります。
治療としては、薬物療法の他に、食事療法、運動療法、ストレス管理が有効なこともあります。ストレスや食事の影響などは個人差が大きいため、治療がうまくいって症状がおさまるのに時間がかかる方も少なくありません。上記にあてはまるような症状がある場合は一度ご相談ください。 -
大腸がん
大腸がんは120人/10万人程度でおきる病気であり(全国がん登録罹患データ2019より)、野田市の規模で考えると毎年180人程度診断される病気です。40代を境に徐々に増え始め、50代から罹患数が急激に増えていくことがわかっています。男性では肺がん胃がんに次いで死亡数3番目(人口動態統計がん死亡データ2020)、女性は死亡数1番目となっており、現在も増加することが予測されています。
胃がん=ピロリ菌ほど因果関係のわかっているものはありませんが、赤身肉や加工肉(サラミやソーセージ)の過剰摂取、食物繊維不足や運動不足、肥満や飲酒も関係しているといわれています。またご家族に大腸がんの方がいると相対的にリスクが高いこともわかっており、あてはまるものが多い方は定期的な大腸がん検診をうけて頂くことがオススメです。
検診が必要な理由としては、かなり進行した病気になってからはじめて症状が出ることが多く、ほとんどの方は無症状にがんが進行してきます。初期の段階で発見できれば内視鏡治療が可能ですが、進行すれば外科治療や化学療法が必要になります。
胃がん同様、早期発見早期治療が原則であり、家族歴がある方や、上記のリスク因子に当てはまる方、もちろんリスク因子のない方も定期的なスクリーニング検査が必要です。検査を希望される方や心配事がある方は気軽にご相談ください。 -
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis, UC)は、大腸におこる炎症性腸疾患の一つで、大腸内の粘膜が慢性的に炎症を起こし、腫れや潰瘍が生じる病気です。「大腸炎」という字の如く基本的には大腸のみに炎症がおこりますが、直腸(肛門のちかく)から始まり、大腸の口側にむかって炎症がひろがっていく病気です。
あまり聞いたことがない方も多いかとは思いますが、近年増加傾向にあり、わかっているだけでも16万人(1000人に1人くらいの計算)が罹患しています(平成25年度末での医療受給者証および登録者証交付数合計より)。
症状としては、腹痛、下痢、血便や、ひどいときには発熱、体重減少などにつながることもあります。特徴的なものとしては「便がでたあとも残っている感じがある(残便感)」や「便意があってトイレにいったのにうんちがでない(しぶり腹)」、「気付いたら下着にうんちがもれている」などがあります。
原因ははっきりとは分かっていませんが、自己免疫反応によるものとされており、よくなったりわるくなったりを繰り返すことがわかっており、国の難病に指定されています。治療としては食事療法が有効なこともありますが基本的には薬物療法がメインとなります。
診断するには、大腸カメラが必要となりますので、上記にあてはまる症状がある方は遠慮なくご相談ください。