Gastroscopy胃カメラとは

胃カメラとは「上部消化管内視鏡検査」のことで、
咽喉頭(のど)、食道、胃、十二指腸まで観察する検査のことです。

がんなどを疑う病変が見られた時には専用の鉗子(ハサミのようなもの)を使用して粘膜を一部切り取ってきます。採取した粘膜の一部を生体検査(病理検査)に提出しがんかどうか、その他の病気でないか調べます。結果には大凡1~2週間程度の期間を要します。

経口と経鼻内視鏡

内視鏡はもともとすべて口から挿入していましたが、近年の医療機器技術の発展により細径化が可能になり、鼻から挿入することもできるようになりました。

①経鼻内視鏡
5mm程度のカメラを左右どちらかの鼻孔より挿入します。口からの検査に比べて嘔吐反射(オエッとなる)が少なく楽に受けられる可能性が高い検査です。細いカメラを使用するので口からの検査に比べて画質が劣り、非常に細かい病変は見落とす可能性があります。鎮静剤を使用することができない方や検診に適しています。鼻の奥が狭い場合、カメラが通過しないことや検査後鼻出血を来すことがあります。その場合は経口検査に切り替えたり鼻出血を押さえる必要があります。

②経口内視鏡
9mm程度のカメラを口から挿入します(マウスピースを使用します)。鼻からの検査に比べて嘔吐反射(オエッとなる)が強くでる傾向にあります。より高画質で質の高い検査が受けられる反面、特に若い人ではより反射がでやすい傾向にあります。もともと何かの病気があった方の定期検査や鎮静剤を使用可能な方に適しています。

Sedation鎮静剤

  • なぜ鎮静剤が必要なのか

    胃カメラは咽頭(のど)を通過して挿入しますが、その際に嘔吐反射(オエッとなる)を誘発します。人によって反射の強さは異なりますが、反射の強い人や検査に対する不安が強い方は鎮静剤を使用することによってより楽で安心した検査を受けることができます。

  • 鎮静剤の種類

    鎮静剤の投与方法や管理方法で「全身麻酔」や「静脈麻酔」に分類されますが、内視鏡検査では「静脈麻酔」をつかって鎮静をおこないます。

    全身麻酔
    一般的に知られている「全身麻酔」は外科手術(胃切除や大腸切除)のような高度侵襲を要する場合に必要なものです。特殊な薬剤を使用し呼吸までとめるため人工呼吸器管理が必要となります。

    静脈麻酔
    全身麻酔とは異なり、鎮静剤(睡眠剤や鎮痛剤)を投与することによって「眠っている状態」となります。自身の呼吸は少し抑制されるものの人工呼吸器管理などは不要で一定時間が経過すれば覚醒します。

  • 鎮静剤の副作用

    鎮静剤は薬により人工的に寝ている状態をひきおこすため、頻度は低いながらも副作用があります。

    呼吸抑制
    普段は無意識的に呼吸をしていますが、鎮静剤を使用することにより呼吸回数が少なくなったり呼吸が浅くなることがあります。必要に応じて酸素投与することもあります。

    アレルギー
    どんな薬剤にもアレルギー反応が起こる可能性があります。軽いじんましんから呼吸が止まってしまうような強い反応まで、程度は人によって異なります。

    <対策>
    どんな副作用にも迅速に対応しますが、症状の強いときには速やかに拮抗剤(鎮静剤の効果を打ち消す薬剤)を投与します。

  • 実際の投与方法

    ①腕の静脈に点滴の針を留置します。
    ②副作用がでないか確認しながらゆっくりと薬剤を投与します。
    ③十分な鎮静が得られたと判断した場合に検査を開始します。
    ④検査中に鎮静が不十分であれば薬剤を追加投与します。
    ⑤検査終了後に拮抗薬(鎮静剤の効果を打ち消す薬剤)を投与し覚醒をうながします。

  • 鎮静剤使用後の注意点

    ・健忘作用(忘れてしまうこと)があるために重要な決定事は避けるようにしましょう。
    ・鎮静剤を使用することにより歩行時のふらつきがでることがあるので30分~60分ほど休んでから帰宅頂きます。
    ・眠気がつづくこともありますので当日は車、バイク、自転車の運転を控えてください。

Disease胃カメラでわかる病気

胃カメラでわかる病気

胃カメラは咽喉頭(のど)、食道、胃、十二指腸まで観察する検査ですが、各部位に様々な病気がみつかることがあります。

咽喉頭

ここは耳鼻咽喉科の領域ですが、消化器内視鏡でも観察することができる場所です。代表的な病気としては「咽頭がん」や「声帯ポリープ」です。耳鼻咽喉科での治療が必要になることがありますので、それらの病気がみつかった場合には他医療機関を紹介することになります。

食道

咽喉頭(のど)をすぎると胃までつながる食道があります。ここは胃酸などの逆流やお酒、たばこにより病気がおこることがあります。具体的な病気としては「逆流性食道炎」や「バレット食道」、「食道がん」、「好酸球性食道炎」などがあります。

胃/十二指腸潰瘍

食道をすぎるとそこは胃ですが、そのはたらきとしては「食物の貯蔵」、「胃酸による消毒」、「酵素による栄養素の分解」があります。正常な胃では胃酸にまけないように粘膜を保護する物質が分泌されたり、食物が入ってきたときに順次十二指腸へおくりだしていく作用があります。それらのどこかがおかしくなってしまった場合に病気がおこってきます。具体的な病気としては「胃炎・胃/十二指腸潰瘍」や「ヘリコバクターピロリ感染症」、「胃がん」、「胃ポリープ」があります。

Helicobacter pyloriピロリ菌

  • ピロリ菌について

    ピロリ菌は「ヘリコバクターピロリ感染症」のことで、胃に住み着いた菌のことです。この菌により各種病気がひきおこされることがわかっており、必要に応じて検査や治療が必要となります。

  • 検査方法

    内視鏡をつかった検査方法
    胃の組織の一部をきりとってきて実際の菌を培養したり、菌が産生するアンモニアを確認して感染の有無を調べます。
    内視鏡をつかわない検査方法
    血液検査(抗体検査)、便検査(抗原検査)、呼気試験があり、特に呼気試験は侵襲がすくないため除菌後の効果判定として利用されることが多い検査です。

Flow胃カメラの流れ

  1. 01

    食事をぬく

    食事をぬいてきてもらいます。(午前の検査ならば朝食抜き、午後の検査ならば昼食抜き)

  2. 02

    薬剤を服用

    検査前に胃の中の泡を消す薬剤を服用してもらいます。

  3. 03

    鎮痛剤を処方

    鎮静剤を希望される方は点滴の針を腕に留置します。

  4. 04

    内視鏡を開始

    喉の麻酔をしてから内視鏡を開始します。経鼻内視鏡をされる方は鼻の麻酔を追加します。

  5. 05

    飲水や食事を控える

    検査後は1時間程度、喉の麻酔が効いていますので飲水や食事を控えてもらいます。その後むせないことを確認してから飲水や食事を行ってください。

  6. 06

    当日夜の飲酒は控える

    生検検査などを行った場合は当日夜の飲酒は控えるように心がけてください。まれに生検部位などから出血を来すことがあります。

  7. 検査頻度

    胃カメラは通常1年に1回(市の検診であれば2年に1回)行うことが目安となります。その頻度で検査を行っていれば、不幸にもがんができたとしても早期で発見し、より低侵襲な治療が可能となります。

    検査費用
    1割負担 2割負担 3割負担
    内視鏡検査のみ(観察のみ) ¥2,000 前後 ¥4,000 前後 ¥6,000 前後
    内視鏡検査+病理検査 ¥3,000 前後 ¥6,000 前後 ¥9,000 前後

    ※生検検査をした際には必ず病理検査を行い、がんが含まれているかどうかを病理検査によって調べます。