VACCINATION 5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)

5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)★2024/4NEW★

5種混合って?

5種混合ワクチンは、以前から接種されていた「4種混合ワクチン」と「Hib(ヒブ)ワクチン」が混合となり、「沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ+Hib混合ワクチン」のことで、2024/4より全国自治体で接種可能となりました。このワクチンでは「ジフテリア(D)」「百日せき(P)」「破傷風(T)」「ポリオ(IPV)」に加え、前述のHib(Haemophilus influenzae type b)の予防ができます。2012年11月より以前の3種混合ワクチンから4種混合ワクチンとなりましたが、この度さらにふえて5種類の病原体ワクチンが同時接種できることとなりました。後述しますが第2期は2種混合(DT)となりますので注意が必要です。

※注意点※
このワクチンは2024/2以降出生時が対象となり、生後2ヶ月の初回接種から5種混合ワクチンであった児のみが対象となります。初回が4種混合+Hibワクチンであった児に関しては、1歳時の4回目接種まで4種混合+Hibワクチン接種となります。(2024/4/1現在での対応)

百日せき(P)

百日せきとはその名の通り咳が特徴的な病気です。けいれんのような続けざまの咳発作がつづき、息を吸うときに笛のような高い音がなる特徴的な呼吸になります。こどもが中心となりますが、大人もふくめ全年齢の人がかかってしまう病気です。1歳以下、特に生後6ヶ月以下の乳児では重症化し命をおとしてしまうこともある非常にこわい病気です。母親からの免疫が十分でないため、ワクチンによる予防が非常に大切になってきます。また、近年では定期予防接種をきちんとうけていても小学校高学年以降での発症がふえており、入学前の追加ワクチン接種(5回目、任意)の必要性が注目されています(後述しますが、4種混合ワクチンDPT-IPVの第2期は通常DTですがDPTの接種が推奨されています。この場合は任意接種となります)。大人から子供にかかってしまうこともあるため、乳幼児がいる家庭ではワクチン接種に加え、感染予防対策も重要です。

 ジフテリア(D)

ジフテリアは通常かぜのような症状で発症し、ときに重症化するとのどがつまって息ができなくなったり、心臓や神経にまで炎症がすすんでしまうような怖い病気です。ただ、ジフテリアに感染した方というのは身近にあまりいないのではないでしょうか?ジフテリアはワクチンによる予防効果が非常に高いことが知られていて、現在もワクチン接種がすすんでいる国での発症はめずらしい反面、ワクチン接種がすすんでいない国での発症は多数報告されています。

破傷風(T)

破傷風は意外と身近な病気です。土の中などに破傷風菌が存在していて、けがをしたときや動物にかまれたときなどに体に菌がはいります。一旦発症すると全身の筋肉がこわばり(かたくなり)、口が開かないなどの症状が出現し、場合によっては命をおとすこともある怖い病気です。ジフテリア同様、破傷風もワクチンによる予防効果が大きい感染症で、きちんとワクチンを接種していれば発症にいたることはまれです。ただ効果は10年~20年程度といわれており、小児期にきちんとワクチン接種をうけていても大人になってけがをした場合(土などが付着するような環境でのけがのときは特に)には追加で破傷風ワクチンを接種することをおすすめします。

 ポリオ(IPV)

ポリオは最近の日本国内ではあまりみられませんが以前は一過性流行含め多数の感染者がいました。ほとんどが無症状なのですが、なかには髄膜炎(脊髄腔への感染)をおこして麻痺が残ったり、命をおとしてしまうこともある怖い病気です。これもワクチンの予防効果が非常に高く、定期接種が行われている国ではほとんど感染はみられません。基本的には人から人への感染しかないため、日本国内で感染するリスクはさほど高くないと考えられますがしっかりとワクチンで予防しましょう。後述しますが、日本では第1期4回接種が基本ですが、海外では4歳をこえたところでもう一回接種するのが標準的であり、任意接種とはなりますが5回の接種をおこなうことが推奨されています。

接種スケジュール

5種混合ワクチンは小児定期予防接種の対象です。
第1期は生後2ヶ月から20日以上あけて3回、その後初回接種終了後6ヶ月以上あけて追加4回目を接種します。はじめの1-3回はB型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチン、小児肺炎球菌ワクチンと同時接種が推奨されています。4回目は1歳の誕生日をめやすにMRワクチン、ムンプスワクチン、水痘ワクチンと5本同時接種されることもあります。追加の4回目を忘れてしまったとしても7歳5ヶ月までは定期接種することができますし、更にそれを忘れてしまったとしても任意接種として15歳までにはきちんと接種するようにしましょう。
第2期は11歳以降で2種混合ワクチン(DT)を接種します。これも海外では3種混合ワクチン(DPT)が標準的であり、3種混合ワクチンを接種することが推奨されています(この場合は任意接種となります)。
第1期上記4回接種が標準なのですが、近年学童期以降(小学校入学以降)に百日せきに対する抗体価(抵抗力)がさがっていることがわかり、その時期に追加の5回目を接種することが推奨されています(任意接種となります)。
また、ポリオワクチンも海外では4歳以降に追加接種するのが標準的であり、この時期(小学校入学前)に追加接種することをおすすめします(任意接種となります)。注意点として、4種混合ワクチンには生涯接種回数に上限(4回まで)があるため、小学校入学前の追加5回目は「3種混合+ポリオワクチン」として接種しなければなりません。5種混合ワクチンの登場に際し今後変更がある可能性はあります。

【第1期】
1回目:2ヶ月の誕生日あたりでB型肝炎①、ロタ①、小児肺炎球菌①、5種混合①で同時接種
2回目:1回目から4週間あけてB型肝炎②、ロタ②、小児肺炎球菌②、5種混合②で同時接種
3回目:2回目から20日以上あけてロタ③(5価のみ)、小児肺炎球菌③、5種混合③で同時接種
4回目:1歳になったとこおで小児肺炎球菌④、5種混合④、MR/ムンプス/水痘①で同時接種
(5回目:小学校入学前に3種混合+ポリオで同時接種(任意接種)、MR/ムンプス②と同時でも可)
【第2期】
定期接種としては2種混合(DT)、推奨は任意接種となるが3種混合(DPT)
5種混合ワクチンはいろいろとわかりにくいところがありますので不明点はいつでも御質問下さい。