Colonoscopy大腸カメラとは

大腸カメラとは「下部消化管内視鏡検査」のことで、
大腸(直腸・結腸)まで観察する検査のことです。

がんなどを疑う病変が見られた時には専用の鉗子(ハサミのようなもの)を使用して粘膜を一部切り取ってきたり、ポリープがあれば必要に応じてその場で切除をします。採取した粘膜の一部や切除したポリープを生体検査(病理検査)に提出しがんかどうか、その他の病気でないか調べます。結果には大凡1~2週間程度の期間を要します。

下剤について

なぜ下剤が必要なのかというと、食事を1回ぬけばほとんどの方は胃の中はからっぽになりますが、大腸はそうはいきません。大腸内には便が貯留していますので検査に際して便を洗い流す必要があります。普段から下剤を服用している方がいらっしゃるとおもいますが、検査前は特別な下剤を利用します。

~下剤の種類~

●モビプレップ
当院は基本的にこのモビプレップを使用します。
服用方法や溶解方法については下記HPより動画をご覧下さい。
【EAファーマHPより】
https://www.eapharma.co.jp/patient/treatment/moviprep

●サルプレップ
モビプレップが合わない方はこちらを使用します。
服用方法や溶解方法については下記HPより動画をご覧下さい。
【富士製薬工業株式会社HPより】
https://www.sulprep.info/movie02/

~何が違うの?~

●のみかた
モビプレップは下剤を溶かして2Lにし服用します。洗浄力(便を洗い流す力)は強く、より精度の高い検査が可能です。2Lの下剤服用が困難な場合はサルプレップを選択します。下剤が960mlと少ないですが、水やお茶を追加で服用します。詳細は「下剤の服用方法」に記載しています。

●あじ(風味)
今までの下剤で「おいしくない」と感じた方は少なくないとおもいます。モビプレップは「すっきり梅味」で従来の下剤よりも服用しやすくなっています。

~下剤の副作用~

●腹痛
強力な下剤なので腸の動き(蠕動)が強く誘発されます。場合によっては動けなくなるくらい痛みがでることがあります。通常は蠕動による痛みはしばらく時間が経つと改善しますが、持続する場合は相談下さい。

●腸閉塞
大腸が狭くなるような病気(大腸がんなど)がある場合には、下剤により腸閉塞(腸がつまってしまう状態)になることがあります。下剤服用後腹痛や嘔吐が頻回になる時にはご相談下さい。

●虚血性腸炎
大腸がせまくなるような病気がある場合に多いですが、強力な下剤なので大腸の血のめぐりがわるくなることで一時的な炎症を起こし、場合によっては血便がでることがあります。下剤服用中に便に血が混ざるときはご相談下さい。

Sedation鎮静剤

  • なぜ鎮静剤が必要なのか

    大腸はおなかの四隅を囲むように存在します。その「角」をカメラが進む際に腸が伸ばされ、おなかが張る感じ、中には痛みを感じる方がいます。痛みを感じたくない方や、初めての検査で緊張される方などは安心して検査を受けるためにも鎮静剤の使用をおすすめしております。

  • 鎮静剤の種類

    鎮静剤の投与方法や管理方法で「全身麻酔」や「静脈麻酔」に分類されますが、内視鏡検査では「静脈麻酔」をつかって鎮静をおこないます。

    全身麻酔
    一般的に知られている「全身麻酔」は外科手術(胃切除や大腸切除)のような高度侵襲を要する場合に必要なものです。特殊な薬剤を使用し呼吸までとめるため人工呼吸器管理が必要となります。

    静脈麻酔
    全身麻酔とは異なり、鎮静剤(睡眠剤や鎮痛剤)を投与することによって「眠っている状態」となります。自身の呼吸は少し抑制されるものの人工呼吸器管理などは不要で一定時間が経過すれば覚醒します。

  • 鎮静剤の副作用

    鎮静剤は薬により人工的に寝ている状態をひきおこすため、頻度は低いながらも副作用があります。

    呼吸抑制
    普段は無意識的に呼吸をしていますが、鎮静剤を使用することにより呼吸回数が少なくなったり呼吸が浅くなることがあります。必要に応じて酸素投与することもあります。

    アレルギー
    どんな薬剤にもアレルギー反応が起こる可能性があります。軽いじんましんから呼吸が止まってしまうような強い反応まで、程度は人によって異なります。

    <対策>
    どんな副作用にも迅速に対応しますが、症状の強いときには速やかに拮抗剤(鎮静剤の効果を打ち消す薬剤)を投与します。

  • 実際の投与方法

    ①腕の静脈に点滴の針を留置します。
    ②副作用がでないか確認しながらゆっくりと薬剤を投与します。
    ③十分な鎮静が得られたと判断した場合に検査を開始します。
    ④検査中に鎮静が不十分であれば薬剤を追加投与します。
    ⑤検査終了後に拮抗薬(鎮静剤の効果を打ち消す薬剤)を投与し覚醒をうながします。

  • 鎮静剤使用後の注意点

    ・健忘作用(忘れてしまうこと)があるために重要な決定事は避けるようにしましょう。
    ・鎮静剤を使用することにより歩行時のふらつきがでることがあるので30分~60分ほど休んでから帰宅頂きます。
    ・眠気がつづくこともありますので当日は車、バイク、自転車の運転を控えてください。

Disease大腸カメラでわかる病気

大腸カメラでわかる病気

大腸カメラは大腸(直腸・結腸)と一部小腸まで観察する検査ですが、様々な病気がみつかることがあります。

腫瘍性病変(がん、ポリープ)

大腸にはポリープができることがあります。食生活の欧米化などにより増加していることから、食生活の影響は否定できませんが遺伝的要素も関係が指摘されています。最近は腸内細菌がポリープ発生やその後のがん化に関与している可能性がわかってきましたが依然として完全な因果関係はわかっていません。大腸のポリープは大きくなればがん化することがわかっており、必要に応じて切除をおこないます。

炎症性腸疾患

腸管に炎症が起こる病気を炎症性腸疾患といいますが、おおきくわけて感染が原因なのかそうでないかの違いがあります。

感染性
なんらかの病原体が感染することによって腸に炎症をおこすことで、ウイルスによるものと細菌によるものがあります。通常は症状によって診断が可能であったり、それを裏付けるために便の培養検査をおこないます。なかには下痢などの原因精査で内視鏡検査をおこなってはじめて判明することもあります。

非感染性
病原体の感染以外のできごとが原因で腸管に炎症がおこります。具体的な病気としては「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」、虚血性腸炎などがあります。

出血

排便時に血液をともなう場合を血便といいます。便自体は茶色で(血液の混入なし)、拭いたペーパーに血液が付着した程度であれば排便時に肛門に一部裂傷ができたものと考えられますが便に血液が混入していたり、そもそも血液のみが排出された場合は大腸カメラをおこなって原因を調べる必要があります。具体的な病気としては「憩室出血」や「虚血性腸炎」、「大腸がん」などがあります。

Flow大腸カメラの流れ

  1. 00

    注意事項

    大腸は便がつまっているので胃カメラと異なり下剤の服用が必要になります。

  2. 01

    寝る前に下剤を服用

    前日より食事を軽めにすませてもらい、寝る前に下剤を服用します。

  3. 02

    おおよそ10-15回程度排便を繰り返す

    検査当日も朝から下剤を服用し、おおよそ10-15回程度排便し腸をきれいにします。

  4. 03

    便の状態を確認

    来院後スタッフが便の状態を確認し、まだ便が残っているときには下剤を追加することがあります。

  5. 04

    鎮静剤の処方

    鎮静剤を希望される方は点滴の針を腕に留置します。

  6. 05

    内視鏡を開始

    お尻にあなの空いたズボンに着替えてから内視鏡を開始します。

  7. 06

    数日間運動や飲酒は控える

    ポリープ切除などを行った場合は数日間運動や飲酒は控えるように心がけてください。まれに切除部位などから出血を来すことがあります。

  8. ポリープ切除

    大腸のポリープは大きくなるとがん化する可能性があります。ある一定の大きさをこえたものはその場で切除することをおすすめします。以前はスネア(輪っか状になった針金の電機メス)で根元をつかんだ後に高周波を流して切除していましたが、近年は通電せずに切除する方法が一般的となっています。
    それによって切除後の出血(自宅に帰ったあとに出血すること)の頻度が減少しましたが、完全に出血しないわけではありません。ポリープを切除した後は運動や飲酒を控えて頂くなどの注意点があります。

    検査頻度

    大腸カメラをどのくらいの頻度で行えば良いかはポリープの有無やその大きさなどによって異なります。検査によってポリープが全くないことが確認できれば通常は3年~5年程度間隔をあけてもよいとされています。切除したポリープが悪性(早期の大腸がん)であったり、1cmを超えるような大きなものであったり、たくさんのポリープが見つかった方は1年~2年後の早い期間での再検査が推奨されます。通常は大腸カメラがおわり(場合によっては病理結果の説明がおわり)次第、個別にお伝えします。

    検査費用
    1割負担 2割負担 3割負担
    大腸内視鏡検査のみ(観察のみ) ¥3,000 前後 ¥5,000 前後 ¥7,000 前後
    大腸ポリープ切除(1臓器) ¥9,000 前後 ¥18,000 前後 ¥27,000 前後
    (2臓器) ¥10,000 前後 ¥20,000 前後 ¥30,000 前後
    (3臓器) ¥11,000 前後 ¥22,000 前後 ¥32,000 前後

    ※生検検査やポリープ切除をした際には必ず病理検査を行い、がんが含まれているかどうかや完全に取り切れているかどうかを病理検査によって調べます。
    ※大腸ポリープ切除ををした場合は「内視鏡手術」扱いになりますので、加入している保険会社の条件次第では保険金の請求が可能です。支払いした金額以上の保険金が支払われることもありますので保険会社にご相談ください。