COLUMN-5 経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト®」について
経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト®」について
今年の夏も猛暑が厳しい日がつづきましたが、9月に入り朝晩は秋の気配を感じるようになってきました。来る冬は「風邪のシーズン」でもあります。感染症の流行に備え、ワクチン接種も重要となってきます。
2020年からの新型コロナウイルス流行で忘れがちですが、インフルエンザの予防も非常に大切です。高齢者や呼吸器疾患がある方の重症化はもちろんのこと、小児の感染予防もまた大変重要です。インフルエンザ重症化後にみられる「インフルエンザ脳症」に関しては0~14歳までが9割を占めており、死亡例も確認されています。
(急性脳炎(脳症を含む)サーベイランスにおけるインフルエンザ脳症報告例のまとめ(2020年1月8日現在 https://www.niid.go.jp/niid/ja/encephalitis-m/encephalitis-idwrs/9315-encephalitis-200117.html)
※インフルエンザに関しては過去記事「インフルエンザワクチンについて」をご参照ください。
従来インフルエンザのワクチンは不活化ワクチン(注射)で
・6ヶ月~13歳未満・・・2回
・13歳以上・・・1回または2回
の接種が必要でしたが、2024年シーズンからは上記に加え「経鼻生インフルエンザワクチン」が使用できることとなりました。このワクチンは2003年に米国で承認され、同国では広く接種されていますが、今シーズンより2~18歳までの限定で日本でも接種可能になります。
その特徴についてまとめます。
海外の臨床試験では従来型ワクチンと効果はほぼ同等とされており、針の注射をしなくていいことで、お子様への接種にはいい選択肢となります。
注意点としては、
その① 生ワクチンとしての特性
弱毒化しているため、「ワクチンを接種したからインフルエンザに罹患する」ということはないのですが、免疫獲得までに3~4週間かかることや、投与後に「インフルエンザ様症状」がでる方がいるために、投与後1-2週間はインフルエンザに罹患する可能性があり、免疫獲得のためにその時期は抗ウイルス薬の服用はできるだけ避けるようにお願いします。
その② インフルエンザワクチン共通の特性
コロナワクチンでも話題になりましたが、ワクチンというものは接種していても「罹患しない」のではなく「重症化を防ぐ」ことが主目的であり、接種していてもインフルエンザに罹患することがあります。また、日本の承認時試験ではみられていませんがアナフィラキシーが起こる可能性も完全には否定できません。
その③ 経鼻投与の特性
基本的に刺激性のない薬液ではありますが、昨今のコロナ検査でお子様によっては鼻から医療行為をされることに抵抗感を感じていることが少なくありません。接種時に顔が大きくそれてしまうときちんと投与ができないため、必要に応じて保護者の方のご協力をお願いします。
以上のことをご理解いただける方は是非ともお試し下さい。
経鼻生インフルエンザワクチンは事前予約の方のみ接種可能です